2020/8/4

アドリアカイム株式会社への出資を決定

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東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(本社:東京都文京区本郷、代表取締役社長 大泉克彦、以下「東大IPC」)が運営する協創プラットフォーム開発1号投資事業有限責任組合(以下「協創1号ファンド」)は、迷走神経刺激による革新的な治療デバイスの開発をすすめるアドリアカイム株式会社(本社:東京都八王子市、代表取締役社長:小林正敏、以下「アドリアカイム社」)に対して、3億円の出資を行いました。

 

東京大学周辺の持続可能なイノベーション・エコシステムの発展を目指す、協創1号ファンド

協創1号ファンドは、東京大学関連ベンチャーの育成促進と、東京大学を取り巻くベンチャーキャピタルの質・量の充実、を中心に据えて運用を行なうことで、東京大学の周辺に持続可能なイノベーション・エコシステムを構築し、世界のベンチャー創出拠点の一つとなることに寄与することを目的としています。具体的な運用として、今までに6つのベンチャーキャピタルへのLP出資(ファンド オブ ファンズ)と、16社の東京大学関連ベンチャーへの直接投資を行い、現在も積極的に東京大学関連ベンチャーへの直接投資を行っています。

 

迷走神経を刺激することで心筋梗塞領域を縮小させる世界初、新発想の治療デバイス「ARIS*3

アドリアカイム社は、オリンパス株式会社で医療機器の研究開発に長年携わってきた⼩林正敏CEOや今林浩之CTOが2018年11月に設立した医療機器ベンチャーです。国⽴循環器病研究センターとの長年の共同研究の成果を活かし、急性心筋梗塞患者の慢性心不全への移行を軽減するための世界初の迷走神経刺激デバイスの開発をすすめています。

急性心筋梗塞患者は、日本国内で10万人、アメリカでは100万人が毎年発症し、大部分の患者さんが救急搬送されて手術を受けています。近年、カテーテル治療などの治療体制が進歩し、急性心筋梗塞で直接的に命を落とす患者さんは減っていますが、退院後に予後不良となる患者さんもいらっしゃいます。また、高齢化とあいまって心不全患者の数は急激な増加の一途をたどっており、2030年には日本では心不全患者数 132 万人*1、米国でも 849 万人になると予想され、米国では7兆8,761 億円ものコストが発生*2すると予測され、大きな課題とされています。

アドリアカイム社が開発を進める治療デバイス(ARIS)*3は、急性心筋梗塞患者の迷走神経を刺激することで心筋梗塞領域縮小を図るものです。薬剤で実現出来ない迷走神経の賦活化を電気的刺激で実現し、より高い治療効果を目指しています。今回、東京大学大学院新領域創成科学研究科 久田俊明名誉教授(株式会社UT-Heart研究所 代表取締役会長)のチームが開発されたヒト心臓モデルを用いたシミュレータの技術を活用し、従来は動物実験に頼らなければならなかった電気刺激による神経賦活の現象を予測解析し、本医療機器の開発に大きく貢献しました。本シミュレーション技術は、開発段階の医療機器の検証手法として、非常に有効であり、今後も多方面への活用が期待されます。

 

今回の出資にあたりアドリアカイム社の小林正敏社長は、「医療機器には“診断機器”と“治療機器”がありますが、治療機器を開発する方がはるかに困難です。本投資を糧に様々な難題に打ち勝ち、人にやさしい医療を目指し、革新的医療機器の提供をいち早く実現したい。」と抱負を述べております。

東大IPCの河原は、「アドリアカイムは10年以上の研究開発成果の実用化を目指す本格的な医療機器のカーブアウトベンチャーであり、日本発の新しい治療機器・技術を世界中の患者様へ届けられるよう期待しています。今後ともご支援させて頂きます。」と抱負を述べております。

 

東大IPCは、アドリアカイム社の技術が日本生まれの世界初新発想コンセプトであること、未解決の治療ニーズ(アンメットメディカルニーズ)に対応するものであること、などの理由からこの度の出資を決定いたしました。今後のアドリアカイム社の事業について、東大IPCは積極的な支援を進めていきます。

また、東大IPCは、イノベーション・エコシステムの発展のため、ベンチャーキャピタルや企業との連携とともに、東京大学関連ベンチャーへの直接投資による育成促進を更に進めていきます。

 

*1 Circulation Journal Vol.72, March 2008

*2 American Heart Association 「Circulation Heart Failure 2013」

*3 ARISはアドリアカイム社の開発コード名です。

 

 

アドリアカイム株式会社について
概要       医療・健康関連機器の企画、研究、設計、開発製造及び販売
設立       2018年11月
所在地    東京都八王子市南新町13番地1-101
代表者    代表取締役 小林正敏
URL       http://www.adriakaim.co.jp/

 

東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)について
概要       東京大学周辺のイノベーション・エコシステムの発展を目指す投資事業会社
設立       2016年1月
株主       国立大学法人東京大学(100%)
所在地    東京都文京区本郷7-3-1 東京大学南研究棟アントレプレナーラボ261
代表者    代表取締役社長 大泉克彦
URL       https://www.utokyo-ipc.co.jp/

 

【お問い合わせ】
東京大学協創プラットフォーム開発株式会社
東京都文京区本郷7-3-1 東京大学南研究棟アントレプレナーラボ261
TEL: 03-3830-0200 / FAX: 03-3830-0183 / Email: info2@utokyo-ipc.co.jp

 

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