東大IPCが運用するオープンイノベーション推進1号 投資事業有限責任組合が総額240億円超に増額
印刷する2021年 4月19日
国立大学法人東京大学
東京大学協創プラットフォーム開発株式会社
国立大学法人東京大学(以下「東京大学」)とその100%出資会社である東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(以下「東大IPC」)は、東大IPCが無限責任組合員となり2020年に組成したオープンイノベーション推進1号投資事業有限責任組合(以下「AOI1号ファンド」)が、この度の増資でファンド総額が240億円を超えたことをご報告いたします。これにより今後は20億円規模の大型投資も可能となります。なお、最終クローズは本年6月末を予定しております。
足元1年で企業・アカデミア連携のオープンイノベーション促進案件 6社に投資実行
今回増資を実現したAOI1号ファンドは「企業とアカデミアとの連携によるベンチャーの育成・投資」という既存のベンチャーキャピタルファンドとは異なる新しいコンセプトを持ち、カーブアウトベンチャーの創出や、各業界のリーディングカンパニーと連携した新会社設立及びそれらのアセットを有効活用するベンチャーへの投資を行うものです。
AOI1号ファンドは、東京大学が構想するイノベーション・エコシステムの構築を進める上で不可欠なものとして、東大IPCが設立された2016年より設計を進めてきました(註1)。東京大学ではその基盤として、一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)との連携や企業との大型の産学連携を推進するなど、環境整備を進めてきました。東大IPCでは日本における類例ファンドやカーブアウトといった投資方法の成功事例が乏しいとされる中で、まずその投資の実例を示すべく直近で必要となる規模約28億円にて2020年にAOI1号ファンドをスタートさせました。
第四次産業革命そしてSociety 5.0の実現に向け成熟企業においても新しいイノベーションへの挑戦が不可避となる中で、昨今のコロナ禍の状況が産業構造の変化をさらに加速させています。AOI1号ファンドでは企業の持つさまざまなアセットに対し、東京大学が蓄積してきた学術成果及びベンチャー化に関する知見そして人材とを掛け合わせる取り組みを行なってきました。その結果、足元1年の間にAOI1号ファンドよりカーブアウト・JV案件 3社の組成を主導、また、東大IPCが東京大学と共催し業界のリーディングカンパニーと共に運用するインキュベーションプログラム「1stRound」を通じてシードベンチャーと大手企業の連携を数多く実現し、その中から3社への投資を実現しました(註2)。
東京大学周辺での取り組みを日本全体へ展開
AOI1号及び東大IPCのこれらの先進的な取り組み並びに投資実績が評価されたことで、その活動をさらに拡大すべく今回の増資が実現しました。東京大学と共に既存のLP出資者である株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行からの追加出資に加えて、SBIグループ、ダイキン工業株式会社、日本政策投資銀行グループ、株式会社博報堂、芙蓉総合リース株式会社、三菱地所株式会社を新たなLP出資者として迎え、総額はこれまでの約10倍となる241.15億円へと規模が拡大します(註2)。AOI1号の最終クローズは 6月末日を予定しています。
今春の増資を通じ、AOI1号では数千万円のシード投資から20億円規模の大型投資まで幅広く対応するファンドとして、環境・エネルギー関連といった大きな資金を要する領域を含むさまざまなベンチャーに初期段階から投資を行います。
その際、ベンチャーの成功に不可欠な経営者等人材の支援策として、今後も東京大学と共に起業家教育に取り組んでいくほか、2020年に開始した技術系ベンチャー及びベンチャーシーズとベンチャーに関心のある人材が相互に交流できる求人データベース「DEEPTECH DIVE」の活用を本格化します。
また、これまで東京大学と東大IPCの共催であった企業とのコンソーシアム型インキュベーションプログラム「東大IPC 1stRound」を、今春より筑波大学、東京医科歯科大学、東京工業大学とも共催する「1stRound」に昇華させることと合わせ、AOI1号では東京大学関連ベンチャーのみならず、他国立大学等関連ベンチャーに対する投資も開始します。
加えて東大IPCは今春国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の「研究開発型スタートアップ支援事業 /ベンチャーキャピタル等の認定」において認定VCとして採択されたことを活かし、ハンズオン支援の更なる強化を進めます。
東京大学及び東大IPCでは、世界の公共性に奉仕することを掲げる東京大学の大学憲章、並びにESG及びSDGsの達成への貢献をめざす東大IPCの投資理念の下、東京大学周辺でのイノベーション・エコシステムの拡大とともに、東京大学で培われたこの先進的モデルを日本全体そして世界でのイノベーション推進に繋げるべく、今後も活動を行います。
オープンイノベーション推進1号投資事業有限責任組合(AOI1 号ファンド)概要(註2)
無限責任組合員:東京大学協創プラットフォーム開発株式会社
有限責任組合員:株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、SBIグループ、ダイキン工業株式会社、日本政策投資銀行グループ、芙蓉総合リース株式会社、株式会社博報堂、三菱地所株式会社、国立大学法人東京大学
ファンド規模 :241.15億円
存続期間:2020 年から 15 年間
投資対象:カーブアウト、JVによる新会社設立、企業アセットを有効活用する初期段階ベンチャー
公開済みの投資実績:
ファイメクス株式会社 ※武田薬品工業株式会社のカーブアウト
タンパク質分解誘導を機序とする新規医薬品の研究開発
Onedot株式会社 ※ユニ・チャーム株式会社からのカーブアウト
中国市場で育児メディア「Babily」運営及び企業の中国デジタル戦略・越境EC等のデジタルマーケティング支援を展開
BIRD INITIATIVE株式会社 ※日本電気株式会社等とのJV設立
DXによる自社課題の解決に向けたコンサルティング、R&D機能の拡張に向けたプロトタイプサービス等を提供
株式会社アーバンエックステクノロジーズ
道路点検等、都市インフラのリアルタイムデジタルツインの構築
HarvestX株式会社
農業機器の開発・販売、果菜類の植物工場における完全自動栽培を目指す
ARAV株式会社
自動運転技術による協調無人施工建機、遠隔地にある建機のリアルタイム操作システムの提供、建機を含む現場の状況管理クラウドサービスの提供
東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大 IPC)について
東大IPCは、ベンチャーキャピタル、企業、大学・アカデミアと民間企業との連携を通じて東京大学周辺のイノベーション・エコシステム拡大・発展を目指す東京大学100%出資の投資事業会社です。AOI1号に先行して2016年に設立した協創プラットフォーム開発1号投資事業有限責任組合では、 民間VCとの連携によるベンチャー支援・エコシステム構築を推進、 既に4件のEXITを実現しています(註2)。
さらに、独創的な研究開発に挑戦し、産業創出を目指す企業を増やしていくために、オープンイノベーション活動を推進。コンソーシアム型のインキュベーションプログラム「1stRound」 では、大手パートナー企業及び複数の国立大学と連携して初期段階ベンチャーへの支援を提供するなど、プレシードからミドルレイヤーまでそれぞれの成長段階フェーズにおいての支援体制を構築しています。
概要 東京大学周辺のイノベーション・エコシステムの発展を目指す投資事業会社
設立 2016年 1月
株主 国立大学法人東京大学(100%)
所在地 東京都文京区本郷 7-3-1 東京大学南研究棟アントレプレナーラボ 261
代表者 代表取締役社長 大泉克彦
URL https://www.utokyo-ipc.co.jp/
(註1)東京大学を中心に、ベンチャー企業、ベンチャーキャピタル等の出資者、既存企業そして大学・研究機関を有機的に連携させることで、イノベーションの世界拠点となることを目指すもの。
(註2)本リリース(2021年 4月19日)時点。
【お問い合わせ】
東京大学産学連携法務部出資事業支援課
担当:板倉、橋本
TEL: 03-5841-1496 / E-mail: jigyoushien.adm@gs.mail.u-tokyo.ac.jp
東京大学協創プラットフォーム開発株式会社
東京都文京区本郷 7-3-1 東京大学南研究棟アントレプレナーラボ 261
AOI1号ファンド投資責任者:水本 尚宏
広報担当:筧 一彦
TEL: 03-3830-0200 / FAX: 03-3830-0183 / E-mail: info2@utokyo-ipc.co.jp