2022/3/29

出資を受けるには?メリット/デメリット、受ける前に考えるべきこと

出資を受けるには?

出資を受けるには?

創業初期のスタートアップやベンチャーなどの未上場企業では、今後の事業展開を進めるために、投資家から出資を受ける必要性が生じるケースがあります。このような場合に、出資を受けるために講じるべき施策の代表例は、以下のとおりです。

  • 企業としての魅力を高める
  • エンジェル投資家、ベンチャーキャピタルと接触する

それぞれの施策の内容について、順番に詳しく解説します。

企業としての魅力を高める

投資家から出資を受けるには、まず投資家に投資をする価値、つまり企業としての魅力を感じてもらわなければなりません。

企業としての魅力を高める際は、前提として投資家がどのような観点で企業を評価しているのか把握しておくことが大切です。一般的に、投資家は、以下のような観点から投資先候補となる企業の価値を評価しています。

  • 事業の成長が見込めるかどうか
  • 整合性と実効性のある事業計画を立てているかどうか
  • どの程度の収益を生み出せるか

上記をまとめると、投資家は、投資先企業を決める際に「市場の成長性」「事業計画」「チームの素質」などを重視する傾向があります。そのため、企業側からすると、こうした点を投資家にアピールできれば、企業としての魅力をより伝えることができます。

以上の点を踏まえて、ここからは、特に創業直後の会社が企業としての魅力をアピールするための施策の中から、代表例として3つ取り上げます。

アイデアを磨く

「革新的なアイデア」は事業の成長性や収益性を予測するための材料の1つだといえますが、それを有しているだけでは、投資家に対して自社の魅力を効果的にアピールするのは難しいです。なぜなら、本当に革新的なアイデアかどうかは、検証してみなければわからないためです。

アイデアの検証プロセスの一例としては、「顧客との徹底的なすり合わせ」が挙げられます。このプロセスを通じて、できる限り顧客に寄り添う形でアイデアを磨き上げれば、投資家に対して企業としての魅力を効果的にアピールすることにつながります。

事業計画を練る

投資家に対して企業の魅力をアピールするためには、整合性と実効性を備えた事業計画を作成することも有効策です。多くの投資家は自身の利益のために成長可能性の高い企業に対して投資を行いたいと考えており、「整合性や実効性のある事業計画」を投資先企業選びの基準の1つに据えています。

整合性と実効性を備えた事業計画を作成する際は、共同創業者などの創業メンバー候補と徹底した議論を行ったうえで、考えを深めて仮説を構築・検証し、客観的視点から事業計画を練り上げることが有効策の1つだといえます。

揺るぎない情熱を持つ

これまでに紹介したアイデアや事業計画に加えて、揺るぎない情熱も、投資家に対して企業としての魅力をアピールするうえで大切なポイントの1つだといえます。

事業を推進していく際は、ネガティブな情報に接したり、リスクを取ることを迫られたりするなど、窮地に陥る機会が少なからず存在します。経営者として、掲げた目的を実現したり、問題を解決したりするためには、何が起こっても諦めずに耐えることが大切です。

これを実現するには、揺るぎない情熱が求められます。仮に揺るぎない情熱が備わっていなければ、困難に負けて挫折してしまいかねません。この状態では、投資家から投資先として魅力を感じてもらえず、出資を受けることが難しくなります。企業としての魅力を効果的にアピールし、出資につなげるためにも、揺るぎない自信をもって投資家へ情熱的にアピールすることが大切です。

エンジェル投資家、ベンチャーキャピタルと接触する

出資を受けるには、自社の魅力度を高めたうえで、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルなどの出資者と接触するのが一般的です。

エンジェル投資家とベンチャーキャピタルは、ともにベンチャーやスタートアップといった高い成長性の見込める未上場企業に対して出資を行う投資家です。ここからは、これら2種類の出資者の特徴を順番に詳しく解説します。

エンジェル投資家

エンジェル投資家とは、起業直後の未上場企業に対して出資を行う個人投資家のことです。出資の形で資金を提供する見返りとして投資先企業の株式を取得しておき、その企業が成長しイグジットを行った際に、キャピタルゲインを獲得することを主な目的に掲げています。

なお、エンジェル投資家の中には、共同経営者として事業に参画し、具体的な支援やアドバイスを提供する人も存在します。また、「起業家やスタートアップを応援したい」「社会貢献を行いたい」といった感情のもと、ベンチャーキャピタルから出資を受けることが難しい企業に対しても積極的に投資を行っている人も存在します。

エンジェル投資家の詳細は、以下の記事で解説しています。

エンジェル投資家とは?投資を受ける方法となる方法

ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタルとは、高い成長率が見込まれる未上場企業に対して出資の形で投資を行う組織のことです。政府系・金融系・事業系などさまざまな種類が存在しています。

企業として投資を行っていることから、出資を受ける金額の目安は数千万円~数十億円程度にまで及びますが、エンジェル投資家よりも厳しい審査を通過する必要があります。

ベンチャーキャピタルについて詳しく知りたい場合は、以下の記事をご確認ください。

ベンチャーキャピタルとは?投資目的/手法/メリット/流れを解説

出資を受けるメリット/デメリット

出資を受けることにはメリットだけでなくデメリットも存在しているため、双方を把握しておくことが大切です。本章では、出資を受けるメリットとデメリットを順番に紹介します。

メリット

代表的なメリットは、以下のとおりです。

  • 返済する義務がない
  • 資金の用途に制限が課されない
  • 投資家からアドバイスを提供してもらえる
  • 投資家の持つネットワークを活用できる

デメリット

問題になりやすいデメリットの代表例を以下にまとめました。

  • 配当金として利益の一部を還元する必要がある
  • 株主に議決権を行使されて経営に関与される
  • 株主数の増加により株主総会を開催する手間が大きくなる
  • 投資家のためにイグジットの時期を念頭に置いて事業を成長させる必要がある

出資を受ける前に考えるべきこと

出資を受ける前に考えるべきこと

そもそも出資が必要かどうかはよく考えるべきです。出資を受けるということは出資者に対して、それ相応のリターンと責任が求められます。

前述のとおり、出資として受け取った資金は返済の必要がありませんが、出資を行った投資家側からすると、出資した金額以上のリターン(キャピタルゲインの獲得)を求めるのが一般的です。

つまり、出資を受けることを望む場合、投資家に対して相応のリターンを用意する必要があります。用意したリターンに対して投資家側が魅力に感じなければ、もちろん出資を受けることはできません。

また、出資をしてもらった株主に対して、各施策についての説明責任が発生します。出資を受けずに事業を行っていた時には自由に進めることができますが、出資を受けた場合は出資者への説明および理解を得るという責任、工程が発生するため、一定の煩わしさが発生することになります。

そのため、出資を受けることになったら、事業の推進に際して想定外の制約を受けないよう、出資者との契約内容について十分に注意しておかなければなりません。もしも不明点があれば、契約前に念入りに確認しておくことが望ましいです。

とはいえ、投資家から出資を受けられれば、資金だけでなく経営に関するアドバイスやサポートも提供してもらえて、事業を急速に成長させられる可能性があります。以上のことから、メリットとデメリットの双方を把握したうえで、出資を受ける必要性について十分に検討すると良いでしょう。

投資家から出資を受け、資金を調達する方法としてエクイティファイナンスがあります。詳細を知りたい場合は、以下の記事をご確認ください。

エクイティファイナンスとは?資金調達でのメリット、デットファイナンスとの違い

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