発起人とは?会社設立における役割や責任、要件、注意点を解説

発起人とは?

発起人とは?

発起人(英語:Promoter)とは、会社が設立されるまでの期間、資本金の出資・定款の作成・取締役の選任など会社設立の必要な手続きを担う人のことです。

取締役とは、会社法で定められている役員のことで、会社が設立された後、業務執行に関する意思決定を行ったり、経営に関して重要事項を決定したりする権利を持つ人をさします。

会社が設立された後、発起人は、自身が出資した資本金の金額に応じて株式が発行されることで、その会社の株主となります。

会社設立の手続きについて詳しく知りたい場合は、以下の記事で解説しています。併せてお読みいただくことで、発起人との関係性をより深く理解できますので、ぜひご確認ください。

会社設立の流れを7つのステップに分けて徹底解説!【株式会社編】

発起人の役割と責任

概要を把握したところで、本章では発起人が果たす役割と責任について順番に解説します。

役割

発起人が果たす役割の中から代表的なものをピックアップし、以下に記しました。

  • 会社に出資を行う
  • 定款の作成・認証の手続きを行う
  • 設立時取締役を選任する

それぞれの役割を順番に解説します。

会社に出資を行う

発起人は、最低1株以上の株式を引き受け、その株式と引き換えに自身の負担部分について出資を行う役割を果たします。

定款の作成・認証の手続きを行う

定款の作成にあたっては社名・事業目的・所在地などを記載する必要がありますが、これらの事項を決定することも発起人の役割に含まれています。

定款の作成後は、公証人から定款の記載内容に法令上の問題がないかチェックを受けて、定款に間違いがないことを証明してもらいます。

定款について理解を深めたい場合は、以下の記事をご確認ください。

定款とは?会社設立時に必須となる書類の記載事項、認証方法を解説

設立時取締役を選任する

発起人は、各人の持つ総議決権の過半数をもって、会社設立時の取締役を選任します。監査役を設置する会社の場合、同様の方法で監査役も選びます。

法律上、この取締役等役員の選任が済むと発起人の役割は終了し、以降の手続きは選任された取締役が担うことになります。なお、発起人は1株以上の株式を引き受けていることから、会社が設立された後は株主として、その会社の意思決定に関与する役割を果たします。

責任

前述した役割を担うことから、発起人は会社設立までの行為に関して責任を負うのが原則です。具体的な責任の内容は、以下のとおりです。

  • 会社設立が成立しなかった場合、その後始末について責任を負う
  • 会社設立の手続きについて、自身の役割を怠り会社に損害を与えた場合、その損害を賠償する責任を負う
  • 払込みの仮装(実質的には払い込みといえないものの、外観上の払い込みを作り出す行為)が行われた場合や、現物出資(金銭以外の財産を出資に充てること)の財産が定款に記載された価額に著しく不足する場合などに、その不足分を支払う

なお、会社が設立された後に株主全員の同意があれば、上記の責任は免除されます。

発起人の要件と注意点

発起人の要件と注意点

最後に、発起人になるための要件や、発起人を決める際に把握しておくべき注意点を順番に解説します。

要件

発起人になるための要件は特に定められておらず、外国人の方や未成年、法人であっても発起人になれます。

ただし、定款認証を受ける際、公証役場へ発起人全員の印鑑証明書を提出する必要があることから、印鑑登録が認められていない15歳未満の未成年者は発起人になれません。

なお、発起人の人数についても、1名以上であれば特に制限は定められていません。

注意点

発起人を決める際に把握しておくべき注意点の中から、代表的な2つをピックアップし、順番に解説します。

法人が発起人になる際の注意点

前述のとおり、法人でも発起人になれるものの、会社の目的部分については注意しましょう。会社の権利能力は、定款に記載された目的の範囲内でのみ認められています。

そのため、「発起人となる法人」と「新たに設立される会社」の目的に関連性がない(例:一方の会社の目的が「保育所及び保育施設の経営」、もう一方の会社の目的が「農産物の生産、加工、販売および輸出入」)場合、法人としての権利能力の範囲外となり、発起人になることが認められません。

こうした場合、新たに設立される会社の目的に、発起人となる法人の目的を追記し、両者に関連性を持たせることで、その法人が発起人になることが認められる可能性があります。

発起人を複数決める際の注意点

発起人1人あたりの出資額が同額の場合、発起人を複数定めれば、出資者が多くなることから、事業開始直後の会社の資金が多くなります。

ただし、発起人の人数が多いと「意見がまとまらない」「出資が予定どおりに進行しない」といった手続き面でのデメリットが発生するおそれがあります。会社設立時はなるべく多く資金調達したいと考えがちですが、まずは確実に理解し合える人のみを発起人として決めることが望ましいです。

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