デカコーン企業とは?ユニコーンとの違い、企業一覧【2022年9月時点】
デカコーン企業とは?
デカコーン企業(英語:Decacorn Company)とは、ユニコーン企業の10倍(100億ドル)以上の企業評価額が付けられているスタートアップやベンチャーなどのことです。「ユニ」は1、「デカ」は10を表す単位であることから名付けられました。
ユニコーン企業(英語:Unicorn company)とは、「設立から10年以内」「企業評価額が10億ドル以上」「非上場企業」「テクノロジー企業」といった4つの条件をすべて満たしている企業をさします。
また、デカコーン企業やユニコーン企業と類似する言葉として「ヘクトコーン企業(英語:Hectocorn Company)」も挙げられますが、こちらはユニコーン企業の100倍(1000億ドル)以上の企業評価額が付けられている企業のことです。
ユニコーン企業について詳しく知りたい場合は、以下の記事で解説しています。併せてお読みいただくことで、デカコーン企業とユニコーン企業の相違点についての理解も深められますので、ぜひご覧ください。
デカコーン企業一覧
本章では、さまざまな観点からデカコーン企業の一覧を紹介します。まずは、企業評価額が大きいデカコーン企業3社の概要を下表にまとめました(2022年9月時点)。
企業名 | 企業評価額 | 国 | 主な事業概要 |
ByteDance | 約1,800億ドル | 中国 | プラットフォーム運営 |
Ant Group | 約1,500億ドル | 中国 | フィンテック |
SpaceX | 約1,250億ドル | アメリカ | EC運営 |
フィンテックとは、金融(Finance)と技術(Technology)からなる造語で、金融分野とIT技術の融合で生まれた革新的なサービスのことです。
国・地域別
次に、国・地域別にデカコーン企業の分布を下表にまとめました(2022年4月時点)。
国・地域 | デカコーン企業の数 |
アメリカ | 29社 |
中国 | 10社 |
ヨーロッパ | 6社 |
アジア(中国除く) | 5社 |
中南米 | 1社 |
業種
続いて、業種別にデカコーン企業の分布を下表にまとめました(2022年4月時点)。
業種名 | デカコーン企業の数 |
フィンテック | 14社 |
インターネットソフトウェア・サービス | 10社 |
Eコマース・D2C | 7社 |
サプライチェーン・物流管理・配送 | 4社 |
ハードウエア | 3社 |
小売 | 3社 |
ヘルスケア | 2社 |
データ管理・分析 | 2社 |
EdTech | 2社 |
AI | 1社 |
自動車・輸送 | 1社 |
その他 | 2社 |
EdTechとは、教育(Education)× テクノロジー(Technology)を組み合わせた造語で、教育領域にイノベーションを起こすビジネス・サービスのことです。
設立年
ここでは、設立年(直近12年間)別にユニコーン企業の分布を下表にまとめました(2022年9月時点)。ここで取り上げているのはユニコーン企業ですが、把握しておくことでデカコーン企業の分布をつかむうえで役立ちます。
設立年 | ユニコーン企業の数 |
2022年 | 4社 |
2021年 | 24社 |
2020年 | 37社 |
2019年 | 63社 |
2018年 | 93社 |
2017年 | 103社 |
2016年 | 136社 |
2015年 | 174社 |
2014年 | 139社 |
2013年 | 110社 |
2012年 | 114社 |
2011年 | 96社 |
参考:CB Insights「The Complete List Of Unicorn Companies」
Crunchbase「The Crunchbase Unicorn Board」
主なデカコーン企業
ここからは、数あるデカコーン企業の中から代表的な5社をピックアップし、それぞれの概要を順番に解説します。
ByteDance
ByteDance(バイトダンス)は、動画共有サービスTikTokを運営する中国のデカコーン企業です。2022年9月時点でデカコーン企業の評価額世界第1位を記録しており、ヘクトコーン企業の1社でもあります。
SpaceX
SpaceX(スペースX)は、アメリカの航空宇宙メーカーであり、宇宙輸送サービス会社であるほか、衛星インターネットアクセスプロバイダでもあるデカコーン企業です。世界で初めて民間人だけでの宇宙旅行に成功しています。2022年9月時点の企業評価額は約1,250億ドルで、ヘクトコーンの1社にも数えられます。
Stripe
stripe(ストライプ)は、フィンテックおよびSaaSを提供するアメリカのデカコーン企業です。主として、eコマースウェブサイトやモバイルアプリケーション向けに決済処理ソフトウェアやアプリケーションプログラミングインターフェースを提供しています。2022年9月時点の企業評価額は約950億ドルです。
Klarna
Klarna(クラーナ)は、フィンテックを提供するスウェーデンのデカコーン企業です。2022年9月時点の企業評価額は約70億ドルですが、2021年3月には310億ドルまで上昇していました。Klarnaは、主にBNPLサービスを提供しています。
BNPLとは「Buy Now Pay Later」の頭文字を取った言葉で、日本語に訳すと「今買って、後で払うこと」を意味します。BNPLではユーザーが商品を購入した際、店舗に対して代金を支払う必要がなく、代金の支払いはBNPL事業者が店舗に対して立て替える仕組みです。
Canva
Canva(キャンバ)は、オーストラリアのデカコーン企業です。「Empower everyone in the world to design anything and publish anywhere.(全ての人がどこからでもデザインとパブリッシュできるようにすること)」をミッションに、オンラインのグラフィックデザインおよび印刷サービスを展開しています。2022年9月時点の企業評価額は約400億ドルです。
同社は2013年の創業以来、ブラウザベースのデザインプラットフォームを運営し世界中にユーザー層を拡げています。
日本のデカコーン企業
2022年9月時点では日本にデカコーン企業は存在せず、ユニコーン企業自体の数も決して多くはありません。世界的に見ると、スタートアップやベンチャーの興隆に関して、日本は遅れを取っているといえます。
しかし、現在の日本では政策の1つに「スタートアップへの徹底支援」が掲げられており、オープンイノベーションへの税制優遇や政府からの資金調達支援などが具体策として提示されています。 すでにスタートアップ支援の仕組みや補助金・助成金の設置などが進められていますが、政府による今後の後押しにも期待が集まっている状況です。