2022/6/20

「ジョブ型研究インターンシップ」を徹底解説!目的、メリット、流れを紹介

ジョブ型研究インターンシップとは?

ジョブ型研究インターンシップとは?

ジョブ型研究インターンシップとは、日本国内の企業において長期間(2カ月以上)かつ有給(初任給程度)の研究インターンシップに参加し、その評価を受けて単位を修得する制度のことです。

対象は、研究遂行の基礎的な素養・能力を持った大学院学生(当面の間、博士後期課程の学生で自然科学系の専攻分野を対象とし、修士課程学生については引き続き検討。条件により、日本学術振興会特別研究員や外国人留学生なども対象に含まれる)とされています。

ジョブ型研究インターンシップの制度は、2021年度より文部科学省のもとで、「産業界と大学が連携して大学院教育を行い、国際競争に耐え得る研究力に裏打ちされた実践力を養成すること」を目的に開始されました。2022年度より本格稼働する予定です。

ジョブ型研究インターンシップの仕組みを簡単に説明すると、以下のとおりです。

  • 対象者が、正規の教育課程の単位科目としてジョブ型研究インターンシップに参加する
  • インターンシップ終了後、企業が学生に対して面談評価を行い、評価書・評価証明書を発行する
  • 受入企業による評価は、その企業の採用選考活動に反映させられる

ジョブ型研究インターンシップの目的

本制度の目的を詳しく説明すると、以下のとおりです。

  • 大学院教育の一環として行われる長期間かつ有給の研究インターンシップの普及により、これらのことを文化として社会に定着させる
  • Society 5.0に相応しい雇用の在り方と高等教育が提供する学びのマッチングを図る

また、上記に付随して、以下の目的も掲げられています。

  • 優秀な大学院学生が、安心して博士課程への進学を選択できる環境にあること
  • 今後拡大が見込まれるジョブ型採用を見据え、産業界と大学が連携して大学院教育を行い、国際競争に耐え得る研究力に裏打ちされた実践力を養成すること
  • 学業に支障をきたすことなく、学生の成長にとって有意義なインターンシップが行われ、学修成果を活用した採用活動が行われること

なお、Society 5.0とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムによって、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会のことです。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く新たな社会のことで、5年ごとに改定されている科学技術基本計画の第5期(2016年度〜2020年度)において、日本が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。

ジョブ型研究インターンシップのメリット

ジョブ型研究インターンシップのメリット

本章では、ジョブ型研究インターンシップの制度に期待されるメリットについて、学生・企業・大学という3つの視点から順番に取り上げます。

まず、参加する学生に期待されるメリットは、主に以下のとおりです。

  • 進路の可能性を広げられる
  • 自らの専門性を客観的に把握できる
  • アカデミア(研究機関)に進んでも生きる、研究力に裏打ちされた実践力を養成できる

次に、本制度を利用する企業に期待される主なメリットを以下にまとめました。

  • 多様な大学・分野から企業競争力向上に貢献できる優秀な学生を採用できる
  • ジョブ型・高学歴化を見据えてポストを見直し、博士学生を含めた新たな新卒採用システムを構築できる
  • 学生の能力を研究開発の加速・高度化や新たな領域の開拓などに活用できる

最後に、本制度を導入する大学に期待される主なメリットは、以下のとおりです。

  • 博士課程のカリキュラムや修了生の質が向上し、大学のブランド力を強化できる
  • 博士課程への進学者増加や研究力の向上が期待できる
  • これまでにない、学生の新たな進路の可能性を広げられる

ジョブ型研究インターンシップへの参加の流れ

最後に、北海道大学大学院工学研究院の工学系教育研究センター(CEED)のケースを取り上げて、本制度に参加する際の流れ・手順を紹介します。参加する際の基本的な流れは、以下のとおりです。

  1. CEEDに対して事前登録をする
  2. 関連行事(説明会・懇談会)に参加する
  3. マッチング支援機構のシステムに、自身のプロフィールを登録し、ジョブ型研究インターンシップへの本登録をする
  4. ジョブ型研究インターンシップを実施する企業のリストやその業務内容等(ジョブディスクリプション)を、マッチング支援機構のシステムにて閲覧し、希望の企業に応募する(応募には本学の指導教員による同意・推薦が必要)
  5. 選考され、インターンシップ先が確定する
  6. 参加書類を準備し、事前教育を受講する
  7. インターンシップに参加する
  8. 企業から評価を受けて、単位を修得する

以上、ジョブ型研究インターンシップの基本情報を紹介しました。前述のとおり、本制度は2022年度より本格的に稼働するため、今後の運用に関する詳細は、文部科学省およびジョブ型研究インターンシップ推進協議会から提供される情報をご確認ください。

参考:文部科学省高等教育局「ジョブ型研究インターンシップ(先行的・試行的取組)実施方針(ガイドライン)」令和3年5月21日
北海道大学大学院工学研究院 工学系教育研究センター(CEED)「ジョブ型研究インターンシップ」

一覧へ戻る
東大IPCの
ニュースを受け取る
スタートアップ界隈の最新情報、技術トレンドなど、ここでしか得られないNewsを定期配信しています