東大IPC×UT-BASE・インターン入門講座|ハイライトレポート
「【UT-BASE×東大IPC】インターン入門講座」と題したイベントが、2024年2月9日(金)に東大の学生メディア「UT-BASE」の主催で開催されました。
このイベントは、東大IPC支援先スタートアップ企業で活躍するインターン生の方にご登壇いただき、カジュアルセッションやQ&Aを通じて、長期インターンのメリットや、自分の興味関心に合ったインターンの探し方についてお話いただくというものです。
今回は、Yanekaraのインターンに参加している西倉寛太さんにご登壇いただきました。こちらの記事では、特に盛り上がった内容についてハイライトでお伝えします。
【目次】
登壇者プロフィール
ーーまずは簡単に自己紹介をお願いいたします。
西倉:現在私が働いている「Yanekara」は、太陽光発電を使ってEV(電気自動車)を充電したり、貯めた電気を家に流したりするハードウェア・ソフトウェアの開発をしている会社です。私自身はインターン3年目で、主に事業開発をしたり、簡単なソフトウェアの開発をしたりしています。
現在は東京大学修士2年の学生で、工学系の研究科原子力国際専攻でエネルギーシステムの研究をしながら学生生活を送っています。経歴としては、サークルやアルバイトをしながら大学4年生の秋あたりからインターンを始めました。ただ「大学2年生を2回やっている」というのが、他の学生にはあまり見られない特徴だと思います(笑)。
就活は大学院の1〜2年生の間にしていました。東京大学の学生はコンサルや金融分野に進む人が多いと思いますが、私の場合は違って、自動車・電機メーカー・IT・人事系の事業会社やベンチャーなどに興味がありましたね。就活では様々な企業を見てきたのですが、色々考えた結果、現在は博士課程への進学を予定しています。
「学んでいることをやってみよう」で参加したYanekara
ーーインターン先企業の選び方や、参加までの経緯はどんなものでしたか?
西倉:大学4年生で進振りが終わり、エネルギー・電気・環境について学ぶ学科に入った後でインターンを考えたので、「学んでいることをやってみよう」という基準で企業を選びましたね。インターネットでエネルギー関連のベンチャーを検索したところ、「面白そうな会社があるぞ」とYanekaraを見つけました。早速HPから応募すると、2週間後ほどで連絡がありインターンとして入ったというのが経緯です。
ーーYanekaraさん以外にも問い合わせを行った企業はありますか?
西倉:あります。エネルギー分野の「WASSHA」という会社です。「途上国にどのように電気を届けるか」という点に興味があり、問い合わせを送ってみました。
同じ興味のある仲間に出会えそうな、サークルに近い雰囲気
ーー最終的にYanekaraさんでインターンしたいな、と思ったポイントがあれば教えてください。
西倉:当時のYanekaraは、事業が始まってから半年〜1年ほどしか経っていなくて、社長も含めて皆さん学生で「サークルに近いような組織」という雰囲気を感じました。
私はどちらかというと「〇〇の専門技能を生かしたい」というタイプではなく、「とりあえず入ってみるか」という気持ちでした。Yanekaraは学生と遠くない雰囲気でなじみやすく、「友達が増えて嬉しい」「同じような興味を持っている人と知り合いたい」という感覚で、インターン先に選んでこれまで続けてこれたのだと思っています。
ーーYanekaraさんのインターンは長期継続者が多い印象です。当時と現在、インターンに参加されている方はどれほどいらっしゃいますか?
西倉:正社員含めて、全部で18〜9人ほどですが、そのうちインターンは10人弱います。正社員のうち3〜4人は、去年大学院を卒業し、インターンから正社員になっています。自分の同期の中でも今年の4月からYanekaraの正社員になる人が3〜4人いるので、愛着を持って長く続ける人が多いのだと実感していますね。
もっと早くインターンに参加すればよかったと後悔
ーー学部1年生からインターンに参加することに不安や迷いがある学生さんに向けて、何かアドバイスはありますか?
西倉:私は学部4年生のインターンを始めましたが、もっと早く、それこそ1〜2年生の頃に始めておけばよかったなと思っています。当時、企業HPの募集ボタンを押す勇気はなく、企業探しを面倒くさがっていたのを後悔しています。
東大生の進学振り分け・選択を迎える以前の期間って、可能性が無限に広がっていて、どこにでも行けるわけですよね。一方で、「何もない白紙の状態」だとも思っていて、だからこそ積極的にアクションを起こさないともったいないと感じています。
そして、何もしないまま2年生の進学選択を迎えてしまい、迷ってしまう人は多いはずです。かくいう私自身もそうでしたから。なので、進学選択の参考として、インターンを使うのもありだと思っています。
例えば、マーケティングに興味があって経済学部への進学を考えている人だったら、自分に合うかどうかマーケティングのインターンに試しに参加してみるといったイメージです。
「インターン」という字面にハードルの高さを感じる人もいますが、私としてはアルバイトの延長線だと捉えています。学生だということは会社がよく分かっているので、気軽に入ってみて、合わなかったら次に行くくらいの気軽さで取り組むのが良いのではないかと。
学業との両立は「なんとかなる」ので気軽に挑戦してみて
ーーインターンと学業の両立に不安を感じる学生さんは多いですが、Yanekaraさんでは学業との両立で苦労したことはありましたか?
西倉:Yanekaraには、「学業との両立はなんとかなるよ」という風土がありますね。
まず、Yanekaraでは会社側に理解があって、両立できるよう調整してくれます。私自身、この間まで修士論文を2ヶ月ほどかけて書いていましたが、その間は論文を全力でやれるよう調整してくれました。その代わりに、論文が終わったらまたインターンをしっかりやるという取り決めにしてくれましたね。東大系のベンチャーであれば、同じ出身で気持ちを分かってもらえて、調整してもらいやすいと思います。
また、学生側でも「なんとかなるだろう」と考えている人が多いです。はじめは私もサークル、大学の授業と両立できるのかなと不安に感じていましたが、周囲の学生を含めて不安が杞憂に終わっている人が多いですね。
自分の他にもインターン参加者がいるような会社であれば、学業との両立に悩む学生の気持ちをしっかり理解しているし、対応にも慣れていると思います。まずは始めて見て、途中で苦しくなったら会社と相談して業務を変えるといった対応をしてくれるはずなので、ぜひハードルを下げて取り組んでほしいですね。
学生のうちから様々な社会経験を積めるのがメリット
ーーインターン経験が将来にどう役立つのかについて、どのような意見を持っていますか?
西倉:インターンで普段から社内外含めて大人の方と接する機会が多く、採用面接で大人と会話をする際に緊張しにくくなりましたね。選考で周囲が緊張している中で、緊張せずに自分を最大限にアピールできるのは、就活で大きなメリットになるかもしれません。
ーーインターン期間中に社外の方とのコミュニケーションって結構ありますか?
西倉:結構ありますね。これまでに一番印象的だったのが、入社2日目に会議に出席するよう言われて経営メンバーについていったときのことです。その場で来週までに用意する資料の話し合いがあったのですが、私は入社2日目で何もわからなかったので、議事録だけ取っていたところ、資料の用意とプレゼンを任されましたね(笑)。
当然、Yanekaraとしても相手を選んでいて、関係の深い会社さんとの取引で任されたので、取引先の企業さんも巻き込んでインターン生を育てていこうというシチュエーションでした。リスクを抑えた中で責任ある仕事を任せてもらえて、大きく成長できたと実感しています。
インターン先で、社会人になって見える景色を先取りできた
ーーここからは当日来た質問からお尋ねしていきます。「大学2年生を2回やっている」ことが気になる方が多いようですね。
西倉:詳しく言うと、文化2類から理転しています。もともと文系で就職を考えていましたが、「自分が社会で役立つ人間なのか、何者なのか」というような大学生にありがちなコンプレックスがあって、目に見える・手に触れるものを作れる技術を身につけたいということで、工学部に入ったという経緯があります。
しかし、インターンに参加してみて、プログラミングや電気の技術だけが専門性ではないなと。文系の知見もあってはじめて社会が成り立っていることを実感しましたね。社会人になって見える景色を先取りできたようなイメージで、世界の見方が変わりました。
ーー文系から理系に進路を変えたことで、ネガティブな影響はありましたか?
西倉:ないですね。むしろ工学部は、社会や経済のような文系的な知識と技術的なバックグラウンドがマッチしやすい環境でしたね。私の専門はエネルギーですが、文系と理系の両方が生きていると感じています。
インターンはリスクなくベンチャーを知れる絶好のチャンス
ーーインターン先選びの話に戻りますが、大手企業・中小企業ではなくベンチャーに狙いを定めていたのはなぜですか?
西倉:リスクを考えると、多くの学生が、新卒では大企業に入りたいと考えますよね。その中で私はあえて、ベンチャーってどういう感じなのかを見たいなと。インターンって、リスクなくベンチャーを知れる絶好の機会です。仕事してお金をもらいながら、ベンチャーの風土や自分の専門について勉強できる理想的な環境ですね。
インターン先選びは企業風土・カルチャーとの相性が大切
ーーYanekaraさんではどのようにしてインターンの選考が行われましたか?
西倉:うちの経営メンバーは、企業風土ベースで選考したいと常に言っています。面接や面談、イベントで社員と触れ合うときに総合的に判断して、うちのカルチャーに合っている学生かどうかを見ているそうです。
技術や知識は後からでも身につけられますが、企業風土やカルチャーの面でのフィット感はそうもいかないです。インターンの定着率を考えて、Yanekaraに限らず様々な会社が、企業風土やカルチャーの面で合っている学生を選んでいると聞きますね。
ーーやはりビジョンや事業内容、社員のみなさんとの相性などで選ぶことが大切ですね。
西倉:Yanekaraの主力製品に「YaneCube(※)」というものがありまして、中に基盤が入っていて、しっかりプログラミングされているハードウェアの製品です。これを開発した学生は、全く経験がない状態でYanekaraに入っています。経営者に手取り足取り教えてもらって作り上げて、現在は主力製品としてしっかり売上が立っている状態です。
その学生にYanekuraに入った理由を聞くと、「知識や経験はなかったけど、なんかピンときたんだよね」と話されていて。ビジョンやバリューなどへの共感ももちろんですが、直感も同じくらい大切だと思っています。自分の直感を頼って会社を選び、後から必要な知識・技術を身につけていく形でも問題ないはずです。
(※)Yanekaraが開発するEV充電コントローラー
インターン先で携わった仕事
ーーYanekaraさんでのインターンの中で、これまでに一番チャレンジングだった仕事はどういったものでしたか?
西倉:私は文系出身なこともあり、プログラミングの仕事はあまり得意ではないのですが、2週間で取引先に見せるデモ機を作る仕事を任されたときは結構チャレンジでした(笑)。当時、1から勉強してデモ機を作りましたが、結果それが商品化に結びついたりして、今はチャレンジしてよかったなと考えています。
進路変更を経験して見えたもの
ーー理転を決断したのはいつ頃でしたか?
西倉:1回目の2年生で、進振りの1ヶ月前ほどの時期でした。文系の学部も見学しましたが、やっぱり理系に行きたいと思って理転しました。締切後に決心したので、教養学部に戻ったという経緯があります。
ーー留年の経験が就活に影響することはありましたか?
西倉:就活する中で、企業側に留年した経験をネガティブに捉えられたことは一度もなく、むしろ企業側に「面白そうだぞ」と思ってもらえるきっかけになっています。皆さんインターンやサークルなど活動されていると思いますが、しっかり何かに取り組む1年であれば、企業側がマイナスに感じることはないはずです。
西倉:私自身、理転によって、文系と理系両方のバックグラウンドを手に入れられたことを武器にできました。インターンに関しても、合わなければ違う業界の会社に変えるのもありだと思います。様々な業界・企業のビジネスに参加した経験は、その後の就活で「あの業界に詳しいから面白い」と興味を持ってもらえることにつながるはずです。
東大IPC、次回セミナーについて
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