東大IPC DEEPTECH DIVE Live! #11 「東京大学関連の注目テック系スタートアップで長期インターン」ハイライトレポート
東大IPCのオンラインキャリアイベント「DEEPTECH DIVE LIVE!」第11回を2022年7月14日(木)に開催しました。このイベントは、キャリアコミュニティサービスDEEPTECH DIVEについて知っていただくために、東大IPCの支援するスタートアップ企業にご登壇いただき、業界の動向、起業エピソード、直近の募集職種などについてカジュアルにお話しいただくというものです。
今回は「東京大学関連の注目テック系スタートアップで長期インターン!」をテーマに、今夏の長期インターンの募集を始める東大関連のテック系スタートアップの経営メンバーである株式会社SIGNATEの齊藤秀さん(代表取締役社長CEO)、株式会社カイゴメディアの向笠元さん(代表取締役社長)、株式会社LeadXの井坂星南さん(取締役CTO)の3名にお越し頂き、これまでにない社会価値を創造し、イノベーションを生み出していく面白さ、業界の展望、インターンで経験できることなどについて、カジュアルにお話しいただきました。こちらの記事では、特に盛り上がった内容についてハイライトでお伝えします。
【目次】
▼登壇者プロフィール(順不同)
株式会社SIGNATE 代表取締役社長CEO 齊藤 秀氏
北海道大学大学院工学研究科修士課程修了。オプト(現デジタルホールディングス)CAOを経て、2018年SIGNATE設立。幅広い業種のAI開発、データ分析、共同研究、コンサルテーション、人材育成業務に従事。日本初のデータ分析コンペティションサービスを設立。データサイエンティスト育成・データ活用関連の中央省庁委員に多数就任。博士(システム生命科学)。筑波大学人工知能科学センター客員教授、国立がん研究センター研究所客員研究員。
株式会社カイゴメディア 代表取締役社長 向笠 元氏
東京大学法学部卒。ドリームインキュベータ(DI)にて、コンサルティング、ベンチャー投資に従事。DI投資先である株式会社リバリュー代表取締役に就任し、その後オークファンへ株式譲渡。戦略コンサルタントとして独立し、介護関連企業への戦略立案、M&A支援に従事。2018年、カイゴメディアを設立し、介護領域に特化した動画メディア・SNSコミュニティ運営、マーケティング支援、採用支援に取り組む。
株式会社LeadX 取締役CTO 井坂 星南氏
東京大学工学部卒。同大学院工学系研究科在籍中に創業し、2021年に中退。
ネイティブアプリからWebアプリまで幅広い開発を経験。これまでにリリースしてきたサービスはホテル向け需要予測システム、論文解析エンジン、飲食店向けモバイルオーダーシステム等様々。現在は中小製造業向けSaaSの製品企画および開発に従事。AWS Startup CommunityやディープラーニングコミュニティCDLEの運営にも携わる。
株式会社SIGNATEのピッチ
齊藤:こんばんは、株式会社SIGNATEの齋藤と申します。現在、株式会社SIGNATEでは、大企業でデータ分析やデジタルを行う人材が足りないという状況に対して、社外の優秀な人材に仕事に参画いただくような支援や、社内の人材育成などを手掛けています。
私たちの展開するサービスは、アメリカでGoogle傘下であるKaggleの日本版のようなものです。AI・データ解析に関する大会を開いており、参加者に競い合ってもらうサイトを運営しています。賞金目当てや自分の実力を試すために多くの方々が参加しており、賞を取りながら成果を企業で活用していただいています。実際に有名企業・大企業を中心に、企業の案件を使って大会を開催しています。
SIGNATE Student Cup
齊藤:今年で4年目になりますが、毎年全国の学生大会も開催しています。今年は7月25日から開始予定です。データサイエンスやデータ人材などの分野を積極的に推進している大企業にスポンサーとなっていただいて、日本一の学生を決めようという大会です。
過去の参加実績を見ると、東京大学の人数が最も多いです。社会人から見ても非常にレベルの高い大会であり、勉強にもなると思いますので、もしも興味があれば参加いただきたいと思います。
SIGNATEの会員基盤
齊藤:事業の会員基盤は徐々に増加しており、年内には9〜10万に迫る見込みです。会員の方はそれぞれ大会でのメダルや順位などの実績が溜まっていますので、上手く活用するとスタートアップへの就職や、社会人の転職などで有利に働く可能性があります。
コンペティション事業
齊藤:もう1つ、大企業向けの事業として、全社員のデジタルスキルを底上げするというソリューションを提供しています。いわゆるSaaSの形で、社員に登録してもらい、データ関連のスキルを計測する機能を提供したり、それを踏まえて苦手分野を克服するためにeラーニングを提供したり、社内限定でのコンペティションを開催したりしています。
国の実証事業・プロジェクトへの参加
齊藤:こうした事業を提供しながら、SIGNATEは国の実証事業・プロジェクトにも積極的に参加しています。直近ではデジタル人材育成プラットフォームを推進するプロジェクトに参加しており、経済産業省を中心に実践的な教育機会の提供を図っています。
具体的には、コミュニケーションツールであるSlackに参加者を集めて、オンラインで教え合う、勉強会のようなプログラムを提供しています。参加は無料です。大きな特徴としては、AIを作るなど会社の中で行う仕事を、企画段階から実際にモノを作ってみて運用してみたり、どのように採算を取ろうか考えたりなど、幅広いスコープで半年間かけて行っていくという点です。昨年はここからベンチャーも誕生しており、面白い実証になっています。このプログラムも現在受講者を募集しており、社会人だけでなく学生さんも参加できますので、もしも興味があればご検討ください。
SIGNATEの長期インターン募集
齊藤:特にデータサイエンティストになりたいという方々や、研究・独学を通じて機械学習やデータ分析の分野に触れたことがある方々は、正社員(補助業務)としてプロのデータサイエンティストと一緒に実際の顧客のプロジェクトやプロダクト開発などを体験できます。
また、文系の方々やプログラミングの経験がない方々でも、興味があってご参加いただければ、私たちと一緒に新規ビジネスを考えてみるという形でインターンを行えます。
私たちは大学で機械学習やデータサイエンスを研究していたメンバーなどが集う会社です。ご興味があれば、ぜひインターンシップにご参加ください。数名程度の参加を予定しています。よろしくお願いいたします。
株式会社カイゴメディアのピッチ
向笠:続きまして、カイゴメディアの向笠です。本日はよろしくお願いいたします。社名のとおり、介護に関するメディアや介護関連のサービス提供などを手掛けています。私たちは「ザ・テック系のスタートアップ」というよりも、テクノロジーを活用しながらメディアやサービスを展開しているというような位置付けにあります。
私と介護の接点を紹介しますと、母親がずっと介護の現場で仕事をしていまして、子どもの頃から介護の仕事の大変さを聞きながら育ってきたという経緯もあり、4年前にカイゴメディアの設立に至りました。
ケアきょう
向笠:「ケアきょう」と呼ばれる、国内最大級の介護に特化した動画・SNSメディアコミュニティを運営しています。いわゆる分散型の動画SNSメディアを介護に特化する形で提供しており、現在は200万人ほどの介護業界・従事者に対して情報を発信しています。
私たちの想いとしては、これから高齢者の方が増加していく中で、介護事業者の方々は貴重な社会資源だといえます。その一方で、現場で働いていて人間関係や職場の環境、高齢者の方からの扱われ方、会社からの処遇などで大変な苦労をしている方々は多くいますので、こうした方々をサポートしていけるようなメディアを運営していきたいと考えています。今後もさらにサービスを拡大していけるよう目指しています。
事業の概要
向笠:ビジネスモデルの1つとして、人材・プラットフォームの事業を展開しています。介護業界で働く200万人の方々を対象にデータベースを作り、転職先のご案内を通じて、少しでも介護業界での待遇を向上し、長期にわたってお仕事をしていただくことを目指しています。
もう1つは、メディアとしての取り組みです。大手のナショナルクライアントのプロモーション・リサーチに取り組んでいます。介護の領域は市場規模として大きい一方で、なかなか市場で新商品が生まれないという側面があります。ただ、大手企業さんも市場として介護業界に注目していますので、私たちのメディアやコミュニティを使いながらプロモーションのお手伝いをしたり、マーケティングのリサーチに関するコンサルティングを提供したりしています。
そのほか、大手企業さんと共同で商品開発も行っています。その中で、私たちのメディアを生かしながら共同で商品を販売しています。これは、現在でいうDtoCのような形態ですね。
政治・行政に対する取り組み
向笠:メディアコミュニティを生かしながら、政治・行政に対しても現場の声を伝えて介護現場の改善を図る取り組みを行っています。国会議員の方をお呼びしたシンポジウムを開催したり、厚生労働省の方とやりとりしながらセミナーなどを開催したりしています。
カイゴメディアのインターン募集
向笠:募集職種は3つあり、今年度は2名〜3名程度の募集を予定しています。1つ目はエンジニアの方で、いわゆるWebサイト・コミュニティの構築に参画していきただきます。イメージとしてはWeb・ネット業界でエンジニアを目指したい学生さん向けです。
2つ目、3つ目はどちらかというと文系の学生さんの方が多いかもしれません。メディアのディレクター・編集者・ライターなどの職種で、例えばテレビ局や出版社などの就職を目指している学生さん向けです。3つ目はネットの広告運用関連の職種です。代理店やネットメディアへの就職を考えている学生さんだとフィットすると思います。
働き方としては、非常に柔軟に設定いたします。週2〜3日ほど、1日数時間ほどから可能です。また、出社・リモートを選択できます。出社の場合は新宿駅から徒歩5分ほどにオフィスがあります。夏休み中ガッツリインターンに参加して、学期中は勉強・研究に合わせてライトに参加するなど柔軟な対応が可能です。
多少なりともご興味いただけましたら、まずはインターンに応募する前に、カジュアルにランチなどご一緒させていただいて、「そもそもインターンってどんな感じなの?」「就職活動ってどうやって考えたらいいの?」といったご相談でも良いので、ぜひお時間をご一緒に過ごせたらと思っています。よろしくお願いいたします。
株式会社LeadXのピッチ
井坂:LeadXを共同創業しまして、CTOを努めている井坂と申します。本日はよろしくお願いいたします。2019年に東大を卒業しまして、修士1年のときに創業しましたので、学生の皆さんとはかなり年齢が近いと思います
私たちLeadXは、中小製造業向けにSaaS系Webアプリを開発・提供している会社です。「全ての企業にテクノロジーの恩恵を」をミッションとし、予算が少なくIT技術者が不足している中小企業でもDXを進められるような社会づくりをしたいと考えて活動しています。
製造業の課題
井坂:製造業には大きな課題があります。限られた時間ではとても伝えきれませんが、こうした課題を目の当たりにしてきた私たちは「今なんとかしないといけない」と思い、持続可能な製造業を目指して挑戦しています。
LeadXの顧客
井坂:私たちの顧客は、多品種少量生産を行っている中小の加工企業です。およそ20〜1000人ほどの従業員規模の会社です。製造業の業界構造を簡単に紹介すると、多くの加工企業が連なったサプライチェーンになります。1つの製品を作るにしても、多くの企業が関わっているという構造です。
次に業務フローを紹介すると、受注の前に見積という業務があります。お客さんから図面をもらい、「いくらで、どれくらいの時間で作れますか?」という質問が届くので、加工企業の見積担当者は図面を見ながら考えて返事をします。
この返事の内容が大切で、「3,000円」と答えたら、その金額で受注する必要があります。実際に製品を作ったところ、想定していた金額を超過してしまったという場合、赤字受注になってしまうので、加工企業にとって見積は経営の根幹になる業務だといえます。
見積業務の現状・課題
井坂:その一方で、見積には課題が多くあります。見積の業務を1人1日あたり50〜100件ほど手掛けている会社があります。見積に追われて夜も眠れないという声があがるほどです。また、これほど大変な業務であるにもかかわらず、実際にものづくりの現場を理解していないと判断できないため、社長・工場長レベルでないと担えないことも多いです。
こうした方々でさえ、勘や経験頼りになっていることがあり、正しい見積ができているとは限りません。なので、赤字受注となってしまうことや、高い金額を出してしまい仕事を受注できないというトラブルも見られます。そこで私たちが実現したいのは、早く・誰でも・正確に見積ができるという状況を作ることです。
LeadXのソリューション
井坂:課題解決のために私たちが開発しているのが、町工場OSとなるデータ管理SaaSです。これを加工企業さんに利用してもらうことで、町工場に特化したUXにより重要なデータが自然と蓄積されるようになります。また、蓄積したデータを図面・データ解析することで、活用することを実現します。
私たちはこれにとどまらず、町工場にある多くの課題を解決するためのOSとして解決を図っていきます。そして、町工場OSが入る企業がつながることで、さらなる価値を生み出していこうと考えています。
LeadXの環境・インターン募集
井坂:私たちの仕事は0→1フェーズなので、非常にカオスですが、プロダクトが出来上がる過程を一緒に楽しめます。また、少人数チームですので1人1人の声が大きく、さまざまな業務で力を発揮していただきたいです。
なので、0→1フェーズに興味がある方、新しいことを学ぶ意欲が高い方、ディスカッションが好きな方など、ぜひ一緒にお仕事できたら良いなと考えています。
オフィスは東大赤門から徒歩5分に位置しています。フルリモート・出社いずれも可能です。週15時間からお願いいたします。募集職種は、フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニア、機械学習/アルゴリズムエンジニアで1名ずつの合計3名を予定しています。文系の学生さんでも熱意があれば、お気軽にお問い合わせいただければと思います。
スタートアップ各社のインターン動向
ーー現在、各社でインターンに参加されている学生の皆さんの業務内容、活躍ぶりなどをお聞かせください。
井坂:現役の東大生が1人インターンに参加しています。彼はもともと機械学習領域に携わっていたことがきっかけで参加してくださいました。もともと研究で機械学習を発表していて、その知見を弊社で活用してくれています。私たちにはない経験・知見があるので、非常に活躍していますね。
向笠:今まで数十名のインターン生に参加いただきましたが、直近でいうと3名ほど働いてもらっています。パターンとしては、マーケティング・リサーチのアシスタントに携わっている方が1名います。もう1つがメディアの運営で、インスタグラムの運営をお任せして、企画を考えてもらい、デザイナーさんに依頼したうえで発信し、数字の結果をもとに新しい企画を考えていくという業務です。基本的に専門的なバックグラウンドを持っている学生さんは少なく、業務をこなしながらスキルを磨いてもらっています。
齋藤:毎年2〜4名ほどの学生さんに参加いただいています。その中で、ガッツリ参加していただく場合や、スポットで参加する場合など、さまざまなパターンがあります。コンペティションの設計業務や教育の教材開発業務などを担当しています。教科書的なものではなく、没入感のある教材作りを目指しています。
ーーこれまで参加してきたインターン生の進路の傾向について、お知らせいただけることはありますか?
向笠:マーケティングリサーチの業務に携わってくれた方々を中心にコンサルティング会社に就職した方が何名かいらっしゃいました。そのほか、テレビ局や広告代理店などへの入社ケースもありました。1名、私たちの会社に就職してくれた学生さんもいましたね。
齋藤:通信系の研究所やIT系ファームなど、データサイエンスやその周辺のエンジニアの進路が多いです。たまに私たちの会社に就職してくれるパターンも見られます。今後も、積極的にぜひ来ていただきたいと思っています。
LeadX、井坂さんのインターン経験
ーー井坂さんは学生時代にインターンをいくつか経験しているということで、どのようなインターンに参加していましたか?
井坂:一番長期で参加していたのがスタートアップのインターンです。10名未満の会社で、エンジニアとして参加していました。また、AI系のスタートアップには2社参加していたのと、サマーインターンとして大手メーカーでエンジニアとしてインターンに参加していました。
インターンにおけるスタートアップと大手の大きな違いは、「どれだけ自分に裁量権があるか」という点だったと思います。スタートアップの場合、「キミの好きなようにやっていいよ」と任されることが多いので、何もわからない状態から勉強したり周囲の人に聞いたり深く調査したりしました。こうした経験は大きな糧になっていますし、裁量権がある分、自分の興味のある分野を行えることはメリットだったと思っています。
参加者からの質問
ーーここからはご参加いただいている方からの質問です。インターンに参加するにあたって必要なプログラミング言語はありますか?
齋藤:SIGNATEではデータ分析を主流としていますので、Pythonが中心ですね。
向笠:カイゴメディアはバックエンドではPythonを使用していますが、学生さんにお任せする業務でいうとHTMLを書ければ十分です。
井坂:LeadXではWebの方ではTypeScriptが多く、機械学習の方ではPythonですね。この辺りに経験があれば十分だと考えています。
ーー2023年4月から就職する予定であっても、学生インターンへの応募は可能でしょうか?
齋藤・向笠・井坂:応募可能で、採用可能性も十分にあります。
ーー本日はどうもありがとうございました。
東大IPC、次回セミナーについて
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